フォンタネリの馬具工房
フォンタネリ家は、ヨーロッパの老舗バッグメーカーと同様にその前身は馬具製造業者であった。19世紀前半には、トスカーナ大公国の首都フィレンツェ郊外のサン・カッシャーノの地でイタリア諸国、及びヨーロッパ中に顧客を有するまでに発展していた。会社設立は、イタリア統一前年の1860年。
写真(1920年代頃)のボッテーガの前には馬具が並べられ、入口には革の端切れで造ったと思われるバッグが吊るされている。看板には「R・FONTANELLI」、「SELLAIO」(馬具製造)と記されている。トスカーナ州でボッテーガ(Bottega)とは、工房と同時に商店を意味する。造った製品を販売すると同時に顧客の注文に応じた生産も可能であった。その歴史は、ルネサンス期の工房にまで遡る。
当時、馬具の顧客は貴族階級や富裕層であった。しかし、20世紀に入って自動車産業が勃興し、移動手段が馬車や馬から移行していくとそれに付随する馬具製造業は衰退を余儀なくされていった。その際、貴族階級や富裕層の移動手段の変化に伴ってトランクやバッグといった高級皮革製品の製造に転換していったのである。
フォンタネリとのコラボレーションによって、彼の地のルネサンス以来のクラフト的生産と日本の現代女性の諸活動とを結び、その注文生産、特にカラーオーダーに対応いたしております。